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公開日:2025.06.16
ポータブル電源で冷蔵庫は何時間動かせる?計算方法から注意点まで徹底解説
アウトドアや防災への関心が高まる中、ポータブル電源の購入を検討している方も多いのではないでしょうか。特に、食品を守るために冷蔵庫を動かしたいというニーズは非常に高まっています。しかし、実際にポータブル電源で冷蔵庫がどれくらいの時間動かせるのかイメージが湧きにくいかもしれません。
この記事では、そんな疑問や不安を解消するために、ポータブル電源で冷蔵庫を何時間か動かせるのか、冷蔵庫を動かせるポータブル電源の選び方を解説していきます。
目次:
そもそもポータブル電源で冷蔵庫は動かせるの?
結論から言うと、適切なスペックのポータブル電源を選べば、冷蔵庫を動かすことは可能です。
ただし、どんなポータブル電源でも良いというわけではありません。確認すべき重要なポイントが2つあります。
ポイント1:ポータブル電源の「定格出力 (W) 」
ポイント2:冷蔵庫の「消費電力 (W) 」
この2つの数値の関係性が、冷蔵庫を動かせるかどうかを左右します。
ポータブル電源の「定格出力」とは?
定格出力とは、そのポータブル電源が安定して出し続けることができる電力の大きさを示す数値です。単位は「W (ワット) 」で表されます。
この定格出力が、使いたい電化製品の消費電力を上回っている必要があります。
ポータブル電源の定格出力 (W) ≥ 使いたい電化製品の消費電力 (W)
この条件を満たしていないと、ポータブル電源の保護機能が働いて電源が落ちてしまったり、故障の原因になったりするのです。
冷蔵庫の「消費電力」とは?
消費電力とは、その電化製品を動かすために必要な電力の大きさのことです。こちらも単位は「W (ワット) 」で、製品の側面や背面に貼られているシール (仕様表) で確認できます。 冷蔵庫の場合、常に一定の電力を消費しているわけではありません。庫内を冷やすための「コンプレッサー」という装置が動いている時に、まとまった電力を消費します。
見落としがちな「起動電力」に注意!
冷蔵庫を動かす上で、もう一つ知っておかなければならないのが「起動電力」です。起動電力とは、電化製品が動き出す瞬間にだけ必要となる、一時的に大きな電力のことを指します。特に冷蔵庫のようにモーター (コンプレッサー) を搭載した機器は、動き始めに大きな力が必要なため、この起動電力が消費電力の数倍になることがあります。
例:消費電力150Wの冷蔵庫の起動電力 → 450W~750Wになることも
この起動電力に対応できないと、そもそも冷蔵庫のスイッチを入れることすらできません。 ポータブル電源のスペック表には、定格出力とは別に「瞬間最大出力」という項目があります。これが起動電力に対応できるパワーを示しているので、必ず確認するようにしましょう。
ポータブル電源で冷蔵庫が動く時間を計算してみよう!
では、いよいよ本題です。お持ちの、あるいは購入を検討しているポータブル電源で、冷蔵庫が何時間動かせるのかを計算してみましょう。
計算式は意外とシンプルです。
稼働時間 (h) = ポータブル電源の容量 (Wh) × 0.8 ÷ 冷蔵庫の消費電力 (W)
ポータブル電源の容量 (Wh)
容量とは、ポータブル電源がどれくらいの量の電気を蓄えられるかを示す数値です。単位は「Wh (ワットアワー) 」で表されます。
この数値が大きければ大きいほど、長時間電化製品を使い続けることが可能です。
なぜ「× 0.8」するの?
計算式にある「×0.8」という部分が気になる方もいるでしょう。
これは、電力の変換ロスを考慮しているためです。ポータブル電源に蓄えられている電気 (直流) を、家庭用のコンセントで使える電気 (交流) に変換する際には、どうしてもエネルギーの一部が熱などに変わって失われてしまいます。
一般的に、この変換効率は約80%と言われています。そのため、容量の80%で計算するのが一般的です。
具体例でシミュレーションしてみよう
それでは、実際の数値を当てはめて計算してみましょう。
【例1】容量500Whのポータブル電源で、消費電力50Wの小型冷蔵庫を使う場合
500Wh×0.8÷50W=8時間
この場合、約8時間は冷蔵庫を動かし続けられる計算になります。
【例2】容量1500Whのポータブル電源で、消費電力150Wの家庭用冷蔵庫を使う場合
1500Wh×0.8÷150W=8時間
この場合、約8時間は冷蔵庫を動かし続けられる計算になります。
ただし、これはあくまで冷蔵庫が常に電力を消費し続けた場合の理論値です。実際には、冷蔵庫のコンプレッサーは動いたり止まったりを繰り返すため、理論値よりも長く使えるケースが多いことを覚えておいてください。
【冷蔵庫のタイプ別】消費電力と稼働時間の目安
冷蔵庫と一口に言っても、大きさや種類はさまざまです。ここでは、代表的な3つのタイプの冷蔵庫について、消費電力の目安とポータブル電源の容量別に見た稼働時間のシミュレーションをご紹介します。
※あくまで一般的な目安です。正確な時間は、お使いになる冷蔵庫の消費電力とポータブル電源の容量で計算してください。
ポータブル冷蔵庫 (車載用など)
キャンプや車中泊で大活躍するのが、小型のポータブル冷蔵庫です。
消費電力が比較的小さいため、中容量のポータブル電源でも長時間利用しやすいのが特徴です。
消費電力の目安:30W ~ 60W
ポータブル電源の容量 | 稼働時間の目安 (消費電力45Wの場合) |
---|---|
500Wh | 約8.8時間 |
1000Wh | 約17.7時間 |
1500Wh | 約26.6時間 |
2000Wh | 約35.5時間 |
小型冷蔵庫(一人暮らし・ホテル用など)
一人暮らし用の1ドア・2ドアタイプの冷蔵庫です。災害時には、このクラスの冷蔵庫が動かせるだけでも大きな安心につながります。
消費電力の目安: 50W ~ 100W
ポータブル電源の容量 | 稼働時間の目安 (消費電力75Wの場合) |
---|---|
500Wh | 約5.3時間 |
1000Wh | 約10.6時間 |
1500Wh | 約16時間 |
2000Wh | 約21.3時間 |
家庭用冷蔵庫(中型~大型)
普段私たちが家庭で使っている、ファミリータイプの冷蔵庫です。消費電力もさることながら、起動電力が非常に大きいのがこのタイプの特徴です。選ぶポータブル電源は、定格出力はもちろん、最大出力にかなりの余裕がある大容量・高出力モデルが必須となります。
消費電力の目安: 100W ~ 200W
ポータブル電源の容量 | 稼働時間の目安 (消費電力150Wの場合) |
---|---|
1000Wh | 約5.3時間 |
1500Wh | 約8時間 |
2000Wh | 約10.6時間 |
3000Wh | 約16時間 |
失敗しない!冷蔵庫用ポータブル電源を選ぶ3つの重要ポイント
ここまでで、冷蔵庫を動かすために必要なポータブル電源のスペックがだいぶ見えてきたかと思います。ここでは、実際に製品を選ぶ際にチェックすべき3つのポイントをまとめました。
容量 (Wh) 「どれくらいの時間使いたいか」で決める
最も重要なのが、やはり容量 (Wh) です。
キャンプで一晩ポータブル冷蔵庫を動かすなら、1000Wh前後の容量があると安心です。スマホの充電など他の用途にも使えます。
家庭用冷蔵庫を半日~1日程度動かすことを想定するなら、1500Wh~2000Wh以上の大容量モデルがおすすめです。容量が大きいほど、心の余裕につながります。
「大は小を兼ねる」と言いますが、容量が大きくなるほど価格も重さも増します。ご自身の用途と予算に合わせて、最適なバランスの製品を選んでください。
定格出力 (W) 冷蔵庫の消費電力+αの余裕を
次に重要なのが定格出力 (W) です。
基本的には「使いたい冷蔵庫の消費電力 < ポータブル電源の定格出力」となっていればOKです。しかし、他の電化製品を同時に使う可能性を考慮して、目安として、冷蔵庫の消費電力の2倍以上の定格出力を持つポータブル電源を選ぶと、より安心して使用できます。
注意しておきたいのが、先述の通り冷蔵庫は起動電力が高い傾向があります。消費電力の3~5倍の起動電力が発生することを見越して、ポータブル電源の瞬間最大出力が、冷蔵庫の起動電力の推定値を上回っているかを必ず確認しましょう。
出力ポートの種類と数
冷蔵庫を接続するためには家庭用と同じ形状のACコンセントが搭載されていることが必須条件です。
最近のポータブル電源には、ACコンセント以外にもUSBポートなど、さまざまな種類の出力ポートが備わっています。
冷蔵庫を使いながらスマートフォンを充電したり、他の小型家電を使ったりする可能性も考慮して、ACコンセントが2口以上あるモデルや、USBポートの数も確認しておくと、活用の幅が広がって便利です。
要注意!冷蔵庫をポータブル電源で動かす際の5つの注意点
最後にポータブル電源で冷蔵庫を動かす際の知っておきたい注意点をご紹介します。
やはり最重要!冷蔵庫の「起動電力」
繰り返しになりますが、起動電力への備えは最も重要です。ポータブル電源のスペックが足りないと、冷蔵庫動きません。
購入前に、動かしたい冷蔵庫の取扱説明書やメーカーの公式サイトで起動電力を確認し、十分な最大出力を持つポータブル電源を選んでください。
いざという時のために「事前テスト」を必ず行う
ポータブル電源を購入したら、必ず一度、動かしたい冷蔵庫に接続してテストしておきましょう。特に防災目的で購入した場合、停電が起きてから初めて接続して「動かなかった…」では手遅れです。事前にテストしておくことで、いざという時に慌てず、確実に行動できます。
直射日光や高温多湿の場所を避けて設置する
ポータブル電源は精密機器であり、熱に弱い性質を持っています。特に夏場の車内や直射日光が当たる場所、湿度の高い場所での使用・保管は避けてください。風通しの良い、涼しい場所で使うようにしましょう。
冷蔵庫の扉の開閉は最小限に!
冷蔵庫を少しでも長く動かすための、ちょっとした節電のコツです。冷蔵庫の扉を開け閉めすると庫内の冷気が逃げ、温度が上がります。すると、冷蔵庫は再び庫内を冷やそうとコンプレッサーを稼働させるため、余計な電力を消費してしまうのです。
中に何が入っているか把握しておき、必要なものをさっと取り出すように心がけるだけで、電力消費を抑え、稼働時間を延ばすことができます。
まとめ
今回は、ポータブル電源で冷蔵庫を動かすための情報をお届けしました。ポータブル電源と冷蔵庫は、私たちの暮らしをより豊かで安心なものにしてくれる強力なタッグです。この記事が、あなたのポータブル電源選びの助けとなれば幸いです。
しっかりと準備をして、快適なアウトドアライフや、万全の防災対策を実現してください。
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