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モバイルバッテリーの車内放置は危険です。
知っておきたい、その理由と安全な使い方
夏のドライブでモバイルバッテリーが活躍する場面も多いのではないでしょうか。
「少しの時間だから」「車の中なら大丈夫だろう」
そんな軽い気持ちで、モバイルバッテリーを車内に置き忘れてしまうことがあるかもしれません。しかし、その「少し」の油断が、思いもよらない事故につながる危険性があります。
この記事では、なぜモバイルバッテリーの車内放置が危険なのか、その理由と対策を詳しく解説します。大切な車、そしてあなた自身の安全を守るために、ぜひ最後までお読みください。
目次:
なぜモバイルバッテリーの車内放置は危険?
モバイルバッテリーを高温の車内に放置すると、内部のリチウムイオン電池が劣化し、最悪の場合、発火や破裂に至る危険性があります。
なぜ、そのような事態が起こりうるのでしょうか。その原因は、バッテリーの「性質」と夏の「車内環境」という、2つの要素が組み合わさることにあります。
高温に弱い「リチウムイオン電池」の性質
現在、ほとんどのモバイルバッテリーには、「リチウムイオン電池」という種類の電池が使われており、小型でたくさんの電気を蓄えられるのが特徴です。
しかし、リチウムイオン電池には「熱に弱い」という繊細な一面も持ち合わせています。
リチウムイオン電池は「可燃性の電解液を密閉し、高エネルギーをためこむ」構造です。通常は安全装置 (保護回路やセパレータ) が熱・過充電を監視していますが、高温環境下に長時間さらされると電池内部の温度上昇とともに化学反応が加速し、
- ・電解液がガス化して膨張
- ・セパレータの変形・収縮
- ・内部短絡による熱暴走
につながりやすくなります。熱暴走は数百度まで一気に温度が上がり、可燃ガスに点火するため発火・爆発に直結します。
使用 / 保管時の温度範囲
使用温度範囲 : 0℃~40℃
保管温度範囲 : 0℃~35℃
夏の車内温度
夏の直射日光が当たる車内の温度は、私たちの想像をはるかに超えるレベルまで上昇します。JAF (日本自動車連盟) が行ったテストによると、驚くべき結果が報告されています。
【JAFユーザーテストによる車内温度の変化】
テスト :
35度の炎天下、午後12時から4時間、屋外の駐車場に停めた車両の車内温度を測定。
条件 :
黒のミニバン、サンシェード未装着、窓を締めた状態。
結果 :
・わずか30分で、車内温度は約45℃に到達。
・1時間後には約50℃を超え、熱中症の危険性が極めて高い環境に。
・特に直射日光が当たるダッシュボードの表面温度は、最高で80℃近くにまで達した。
※参考:JAFユーザーテスト「真夏の車内温度」
このような過酷な環境に、モバイルバッテリーを放置することが、いかに危険であるかお分かりいただけるでしょうか。「エアコンをつけていたから大丈夫」という油断も禁物です。エンジンを停止すれば、車内の温度はあっという間に外気温を追い越し、危険なレベルまで上昇してしまいます。実際に、独立行政法人製品評価技術基盤機構 (NITE) にも、車内に放置されたモバイルバッテリーに関連する事故が報告されています。
モバイルバッテリーを車内で使う際の注意点
車内への「放置」だけでなく、車内での「使用」にも注意が必要です。安全に使うために、以下のポイントを必ず守ってください。
直射日光が当たる場所での使用・充電はNG
特に危険なのが、ダッシュボードの上です。前述の通り、ダッシュボードは80℃近くにもなる、車内で最も高温になる場所の一つです。このような場所でモバイルバッテリーを使用・充電することは絶対に避けてください。できるだけ、涼しく直射日光の当たらない場所で使うことを心がけましょう。
車を離れるときは、モバイルバッテリーも一緒に持ち出す
車を離れるときは、モバイルバッテリーも一緒に持ち出すことを習慣にしてください。たとえ数分間の買い物であっても、車内温度は急上昇します。バッグやポケットに入れて持ち歩くことで、高温によるリスクを確実に避けることができます。
保冷バッグでの保管もNG
「冷やせばいいのでは?」と考えて、保冷剤の入ったバッグなどに入れるのは避けてください。急激な温度変化は、製品内部に結露を発生させ、ショートや故障の原因となる可能性があります。時間を置いて乾かした場合でも水に含まれる不純物が残り、回路基板に悪影響を与えます。モバイルバッテリーは水気や湿気にも弱いことを覚えておきましょう。
モバイルバッテリーを長く安全に使うために
ここでは、車内に限らず、モバイルバッテリーを日常で安全に使い続けるための知識をご紹介します。
極端な使用環境を避ける
前述した通り、モバイルバッテリーは極端な高温下や低温下に弱いという特徴があります。そのため熱を発する製品 (ドライヤー / ヒーター / 電熱ベスト等) の近くでの使用や放置は控えてください。また、布団や衣類等をかけた状態の使用、直射日光が当たる場所でのモバイルバッテリーの長時間の放置は火災などのトラブルに繋がる危険性があるためご注意ください。
物理的な衝撃は厳禁
モバイルバッテリーは精密機器です。落下させたり、強い圧力を加えたりしないように、丁寧に取り扱いましょう。
特に、ズボンの後ろポケットに入れたまま座る、カバンの中で他の硬い物とぶつかるといった行為は、内部のバッテリーセルを損傷させ、ショートを引き起こす原因となります。持ち運ぶ際は、ポーチに入れるなどして保護することをおすすめします。
水気や湿気にも注意
モバイルバッテリーを水に濡らしたり、湿気の多い場所で使用したりするのは避けてください。内部の回路がショートし、故障や発火の原因となります。雨の日や、キッチン、お風呂場などでの使用には特に注意が必要です。万が一濡れてしまった場合は、すぐに使用を中止してください。
中古品を使用しない
不具合報告の中で、友人が2〜3年使用したモバイルバッテリーを譲り受け使っていた、というケースが多く見受けられます。開封済みの製品や中古品は前回使用時にどのような取扱いをされていたか不明な点や、そもそもどのくらいの期間使用されていたかも分かりづらいこともあり、トラブルの原因となるリスクが非常に高いです。また、中古品の場合は各メーカーの保証対象外となる場合が多いため、モバイルバッテリーは新品を購入するようにしましょう。
異常サインを見逃さない
使用期間に限らず、モバイルバッテリーに以下の症状が見られた際には寿命の可能性が高いため、処分することをおすすめします。
- ・本体の充電時間が以前より長い
- ・バッテリー残量の減りが以前より早い
- ・機器への給電が遅い
- ・機器への充電ができない
- ・充電器の本体が以前よりも熱く感じる
- ・本体が膨張しているまたは破損している
上記の症状に限らず、少しでも製品本体に違和感を感じた場合には、すぐに使用を中止しましょう。
モバイルバッテリーの正しい処分方法
モバイルバッテリーの処分方法は自治体によって異なります。不燃ごみとして処分できる自治体も一部ありますが、多くの自治体はモバイルバッテリーを不燃ごみとして出すことを禁止しています。この章では、モバイルバッテリーの正しい処分方法を紹介します。
自治体のルールを確認
モバイルバッテリーの処分を検討する際、まずは自治体のルールを確認しましょう。自治体によってルールは大きく異なり、戸別回収を行っている地域もあれば、特定の施設や協力店への 持ち込みを指定している地域もあります。また、回収に出す際のルール (例: 金属端子部のみテープ等で絶縁する) も指定されている場合がありますので、必ず各自治体の公式ホームページを確認して下さい。
JBRCの回収協力店への持ち込み
また、リチウム蓄電池リサイクルの推進を行う団体である「JBRC (一般社団法人 JBRC) 」の回収協力店へ持ち込むことも可能です。
家電量販店やホームセンターをはじめ、自治体と連携している店舗の多くが回収協力店として登録されています。店頭には専用の回収ボックスが設置されていることが多く、気軽にご利用いただけます。協力店はJBRC のホームページ「協力店・協力自治体検索」より確認できます。
アンカー・ジャパンを始めとする国内外の多くのメーカーがJBRCに加盟していますが、中には未加入の企業やブランドも存在します。そうした場合、店頭で回収を断られる可能性がありますので、処分したいバッテリーのメーカーがJBRCに登録されているかどうかを事前にウェブサイト等で確認しておくと安心です。JBRC加入企業はJBRC のホームページ「JBRC会員企業リスト」ページからご確認いただけます。
※膨張したモバイルバッテリーなどJBRCでは回収できない製品もございますため、詳細はJBRC のホームページ「不要電池の出し方 (回収対象/対象外説明) 」よりご確認ください
モバイルバッテリーのメーカーによる下取り回収
モバイルバッテリーを販売しているメーカーに回収を依頼するのも一つの手段です。たとえばアンカー・ジャパンの展開する常設直営店「Anker Store」では過去に購入されたAnkerのモバイルバッテリーの回収を行う「モバイルバッテリー下取り&買い替えサポート」を常時実施しています。故障しているものや箱、付属品がなくても引き取りが可能です。特典としてお持ち込みの当日に限り、お持ち込みいただいた店舗にてモバイルバッテリーを税込価格より300円オフでお買い求めいただけるクーポンを配布しています。
※他社製品は引き取り対象外です
※Anker Storeビックカメラ ラゾーナ川崎はキャンペーン対象外となります
処分する際の注意点
絶縁処理をした上で処分
不要なモバイルバッテリーを処分する際、電池本体、または基板上の正極・負極が剥き出しになっている場合は、絶縁処理が必須です。絶縁処理を行わずに処分に出すと、隣接している他の廃棄物や金属と端子が触れ合い、思わぬショートが起きる可能性があります。必ず絶縁テープやビニールテープなどで端子部分をしっかり覆ってから処分に出しましょう。
変形または膨張している場合は回収できない可能性がある
モバイルバッテリーが変形したり、明らかに膨張しているケースでは、安全上の理由から回収自体をお断りされる場合があります。これは、すでにリチウムイオン電池の内部が損傷しているか、深刻な不具合が発生している恐れがあるためです。特に、変形または膨張しているモバイルバッテリーを無断で回収ボックスに投入するのは厳禁です。こうした場合は、回収店舗のスタッフや自治体の担当窓口に個別に相談する必要があります。
分解やガス抜きをしない
モバイルバッテリーなど電池本体を取り外せない構造の製品は、無理に分解しないで下さい。モバイルバッテリーが膨張している場合も、ご自身で分解やガス抜きを行うのは非常に危険な行為ですので、絶対におやめください。
まとめ
今回は、モバイルバッテリーを車内に放置する危険性と、安全な使い方について解説しました。非常に便利なモバイルバッテリーですが、使い方を誤れば、深刻な事態を引き起こしかねない繊細な側面も持っています。「自分だけは大丈夫」と思わず、正しい知識を持って安全に活用することが、あなた自身と、周りの人の安全を守ることにつながります。
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