「モノ」で叶える
スマートな暮らしを後押しするメディア
夏場にモバイルバッテリーを使用する際の注意点
一年で最も気温が高くなる夏場は、モバイルバッテリーにとって最も過酷な季節です。消費者庁からも、高温環境下でのモバイルバッテリーの事故に関する注意喚起が毎年なされています。
この記事では、なぜ夏場のモバイルバッテリー使用に特別な注意が必要なのか、その理由から、具体的なNG行動、そして安全にお使いいただくためのポイントを紹介します。
モバイルバッテリーとともに、この夏を安全で、そして快適に過ごすために、ぜひご一読ください。
目次:
夏場の高温がモバイルバッテリーに与える深刻な影響
モバイルバッテリーの多くは本体外部がプラスチックでできていますが、内部にはリチウムイオン電池を搭載しています。リチウムイオン電池は「可燃性の電解液を密閉し、高エネルギーをためこむ」構造です。通常は安全装置 (保護回路やセパレータ) が熱・過充電を監視していますが、高温環境下に長時間さらされると電池内部の温度上昇とともに化学反応が加速し、
・電解液がガス化して膨張
・セパレータの変形・収縮
・内部短絡による熱暴走
につながりやすくなります。熱暴走は数百度まで一気に温度が上がり、可燃ガスに点火するため発火・爆発に直結します。
リチウムイオン電池搭載製品の事故は6月〜8月に増加
2020年から2024年までの5年間に製品評価技術基盤機構に通知された製品事故情報では、リチウムイオン電池を搭載している製品の事故件数は気温の上昇とともに増加し、8月に事故発生件数がピークを迎えています。これは、リチウムイオン電池が高温環境にさらされることで電池内部の温度が上昇し、異常発熱や発火などのリスクが高まるためと考えられます。
参照:『夏バテ(夏のバッテリー)』にご用心~「リチウムイオン電池搭載製品」の火災事故を防ぐ3つのポイント~ | 製品安全 | 製品評価技術基盤機構
高温だけでなく、水気や衝撃も事故の原因に
夏のモバイルバッテリーにとっての敵は、高温だけではありません。レジャーやアウトドア活動が増える夏だからこそ、注意すべき他のリスクも存在します。
水気・湿気
リチウムイオン電池の内部に一旦水が侵入すると、放置しているだけでも内部の回路基板のショートやトラッキング現象が起こり、発熱や出火に至る可能性があります。時間を置いて乾かした場合でも水に含まれる不純物が残り、回路基板に悪影響を与えます。「少し濡れただけ」という油断が、思わぬトラブルにつながることを覚えておきましょう。
衝撃
海や山、キャンプやフェスなど、アクティブに活動する場面では、手元からモバイルバッテリーを落としてしまうこともあるかもしれません。リチウムイオン電池は衝撃に弱い性質があるため、硬い地面への落下は、たとえ見た目に大きな傷がなくても、内部に深刻なダメージを与えている可能性があります。
絶対に控えてほしいモバイルバッテリーの使い方
ここまで、夏に潜むモバイルバッテリーの危険性について解説してきました。では、具体的にどのような使い方を避けるべきなのでしょうか。
直射日光が当たる場所への放置
車のダッシュボードの上や、海辺の砂浜、公園のベンチなど、直射日光が当たる場所にモバイルバッテリーを放置するのは絶対にやめましょう。特に色の濃いモバイルバッテリーは熱を吸収しやすく、短時間で本体温度が危険なレベルまで上昇する可能性があります。本体温度が急激に上がることで、バッテリーの劣化を早めるだけでなく、発火や爆発のリスクが著しく高まります。
高温の場所で使用・充電
そもそも充電中は、モバイルバッテリー自体が熱を持つ性質があります。そのため、周囲の気温が高い場所で充電を行うと、本体の熱がうまく放出されず、異常な高温状態になりやすいです。特に、直射日光が当たる場所や閉め切った車内などでの充電は、熱暴走を引き起こす可能性があり大変危険なので、充電する際は必ず涼しい場所で行ってください。
濡れた手での使用や、水気に晒す
汗をかいた手で触ったり、突然の雨に濡れたり、プールや海辺で水しぶきがかかったりすることも、夏ならではの危険なシチュエーションです。防水機能がないモバイルバッテリーの場合、わずかな水分でも内部の回路がショートし、故障や発火の原因となります。防水仕様の製品であっても、濡れた状態での充電は絶対に避けてください。
「ちょっとした異常」を放置して使い続ける
「本体が以前より熱くなる」「バッテリーが膨らんできた」「満充電のはずがすぐに空になる」「異臭がする」といった症状は、バッテリー内部で異常が起きているサインです。これらを「まだ使えるから」と放置して使い続けるのは非常に危険です。重大な事故につながる前に、直ちに使用を中止し、自治体のルールに従って適切に処分してください。
モバイルバッテリーの寿命
モバイルバッテリーの寿命は、破損などの場合を除いて、リチウムイオン電池の寿命と同じと言えます。リチウムイオン電池は、充放電回数を重ねることにより劣化 (電池容量の低下) が生じます。モバイルバッテリーの寿命の目安と言われているのは、一般的に電池容量が本来の80%以下になった状態。この目安は、300〜500サイクル※の充電回数と言われています。
上述のように、リチウムイオン電池は使用頻度によっておおよその寿命が予測でき、仮に毎日使用した場合は約1年から1年半が寿命となります。ただし、使用環境によっても左右されるため、あくまで目安とご理解ください。
※1サイクルはバッテリー残量が0%から100%まで充電され、再び0%になるまでとしたものです
安全にモバイルバッテリーを使用するためのポイント
モバイルバッテリーを使う際の注意点を理解した上で、次に夏場でも安全にモバイルバッテリーを使いこなすためのポイントをご紹介します。これらの習慣を身につけることで、トラブルのリスクを大幅に減らすことができます。
極端な使用・保管環境を避ける
モバイルバッテリーは極端な高温下や低温下に弱いという特徴があります。そのため熱を発する製品 (ドライヤー / ヒーター / 電熱ベスト等) の近くでの使用や放置は控えてください。また、布団や衣類等をかけた状態の使用、直射日光が当たる場所でのモバイルバッテリーの長時間の放置は火災などのトラブルに繋がる危険性があるためご注意ください。
モバイルバッテリーは推奨の温度範囲を守ってご使用ください。また保管の際には特に35℃以下の涼しく乾燥した環境がおすすめです。
使用 / 保管時の温度範囲
使用温度範囲 : 0℃~40℃
保管温度範囲 : 0℃~35℃
車内放置をしない
夏の炎天下、閉め切った車内の温度は短時間で70℃を超えることもあり、ダッシュボードの上はさらに高温になります。このような環境は、モバイルバッテリーにとって「絶対に避けるべき場所」です。ほんの少しの時間だからと油断せず、車を離れる際は必ず一緒に持ち出す習慣をつけましょう。
水気や湿気を徹底的に避ける
夏は汗や湿気、突然の雨、レジャーでの水しぶきなど、水濡れのリスクが高まります。モバイルバッテリーを水気から守るために、防水ケースやジップロック付きの袋などを活用するのがおすすめです。濡れた手で触らない、湿気の多い浴室や洗面所に持ち込まないといった基本的な注意も徹底しましょう。
持ち運ぶ際は本体への衝撃に気を付ける
アウトドアやレジャーなど、アクティブに活動する際は、モバイルバッテリーへの衝撃にも注意が必要です。硬い地面への落下や、カバンの中で他の硬い物とぶつかることで、外見に変化がなくても内部の電池が損傷する恐れがあります。落下などの衝撃や、ポケットに入れたまま座る、バッテリーの上に重いものを載せるといった、過度な力を加える行為は避けてください。万一に備えてポーチに入れたりするなどの工夫をしましょう。
こまめに異変がないか確認する
日頃からモバイルバッテリーの状態をチェックする習慣をつけましょう。使用前後に「膨らみや変形はないか」「異常な熱さはないか」「変な臭いはしないか」などを確認してください。また、「充電に時間がかかりすぎる」「電池の減りが異常に早い」といった性能の劣化も、寿命や故障のサインです。少しでも異変を感じたら、使用を中止して下さい。
バッテリー残量がない状態で長期間放置しない
この場合、過放電の状態となり、最終的には充電できない状態にまで劣化してしまう場合があります。また、過放電によってリチウムイオン電池の中にガスが発生し、バッテリー自体が膨らんでしまうこともあります。
モバイルバッテリーの処分方法
モバイルバッテリーの処分を検討する際、まずは自治体のルールを確認しましょう。自治体によってルールは大きく異なり、戸別回収を行っている地域もあれば、特定の施設や協力店への 持ち込みを指定している地域もあります。また、回収に出す際のルール (例: 金属端子部のみテープ等で絶縁する) も指定されている場合がありますので、必ず各自治体の公式ホームページを確認して下さい。
また、リチウム蓄電池リサイクルの推進を行う団体である「JBRC (一般社団法人 JBRC) 」の回収協力店へ持ち込むことも可能です。
家電量販店やホームセンターをはじめ、自治体と連携している店舗の多くが回収協力店として登録されています。店頭には専用の回収ボックスが設置されていることが多く、気軽にご利用いただけます。協力店はJBRC のホームページ「協力店・協力自治体検索」より確認できます。
アンカー・ジャパンを始めとする国内外の多くのメーカーがJBRCに加盟していますが、中には未加入の企業やブランドも存在します。そうした場合、店頭で回収を断られる可能性がありますので、処分したいバッテリーのメーカーがJBRCに登録されているかどうかを事前にウェブサイト等で確認しておくと安心です。JBRC加入企業はJBRC のホームページ「JBRC会員企業リスト」ページからご確認いただけます。
※膨張したモバイルバッテリーなどJBRCでは回収できない製品もございますため、詳細はJBRC のホームページ「不要電池の出し方 (回収対象/対象外説明) 」よりご確認ください
正しい知識で、安全で快適な夏を
モバイルバッテリーは、今や私たちの生活に欠かせない便利なアイテムです。しかし、その内部には大きなエネルギーが蓄えられており、一歩使い方を間違えれば重大な事故につながる危険性もはらんでいます。
特に、夏場の高温環境はモバイルバッテリーにとって大敵です。今回ご紹介したように、「高温・水気・衝撃」を避け、「異常を感じたら使用を中止する」という基本的なルールを守るだけで、事故のリスクは大幅に減らすことができます。
ご自身の、そして周りの人の安全を守るためにも、ぜひこの機会にモバイルバッテリーとの付き合い方を見直してみてください。正しい知識を身につけ、モバイルバッテリーを賢く安全に活用して、快適な夏を過ごしましょう。
RECOMMEND
編集部のおすすめ
2025.07.02
PICKUPS
ピックアップ記事
あなたの生活を
より快適で、スマートなものに。
オンラインストアはこちらから!
ANKER
MAGAZINE
「モノ」で叶える
スマートな暮らしを後押しするメディア
Empowering Smarter Lives
アンカーマガジンは、“充電”のグローバル・リーディングブランド「Anker」、オーディオブランド「Soundcore」、スマートホームブランド「Eufy」、スマートプロジェクターブランド「Nebula」の製品やテクノロジーなど、皆さまの暮らしを豊かにする情報をお届けします。

