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公開日:2025.08.08

「Matter」とは?スマートホームを支える共通規格

まるで未来の暮らしを描いた映画のように、声ひとつで家中の家電が動くスマートホーム。
しかし、メーカーごとに規格が異なるため、Google Nest (Google Home) やAlexa、iPadかAndroidタブレットによって設定方法が複雑、といった悩みも。
そんな悩みを解決するかもしれないのが、スマートホームの新しい共通規格「Matter」 (マター) です。この記事では、Matterとは一体何なのか、その仕組みやメリット、私たちの生活にどう影響するのか、そして対応製品の選び方まで、分かりやすく徹底解説します。スマートホームの未来を覗いてみましょう!

目次:

    そもそもスマートホームって何?

    Matterの話に入る前に、まずは「スマートホーム」について簡単におさらいしておきましょう。
    スマートホームとは、一言でいうと「インターネットと家電がつながって、暮らしが便利になる家」のことです。

    外出中にスマートフォンからエアコンをつけたり、ロボット掃除機を動かしたり。スマートフォンやスマートスピーカーを使って、家電や住宅設備を自動で動かしたり、遠くから操作したりできるのがスマートホームの魅力です。

    なぜ今Matterが必要?
    従来のスマートホームが抱えていた課題

    とても便利なスマートホームですが、これまでは大きな課題を抱えていました。Amazon Alexa、Google アシスタント、Apple HomeKitなど、便利なプラットフォームは存在するものの、それぞれの「言語」 (=通信規格や制御方法) が異なっていたのです。

    そのため、A社のロボット掃除機はAlexaでしか操作できず、B社のセキュリティカメラはApple HomeKitにしか対応していない、といった状況が発生しました。

    ユーザーは、使いたいデバイスを選ぶ際に「どのプラットフォームに対応しているか」を常に気にしなければならず、メーカーの選択肢が制限されていました。
    このように、メーカー間の互換性の低さ、セットアップの煩雑さなどが、スマートホーム普及の大きな障壁となっていたのです。

    Matterが目指すもの、
    スマートホーム機器の「USB」に

    そこで登場したのが、新しいスマートホームの共通規格「Matter」です。Matterが目指すのは、スマートホームデバイスにおける「USB」のような存在になることです。

    かつて、パソコンにプリンターやマウス、キーボードなどを接続する際、それぞれ異なる形状のコネクタや、専用のドライバーソフトウェアが必要で、非常に煩雑でした。しかし、USB規格が登場したことで、メーカーを問わず多くのデバイスが簡単に接続できるようになり、利便性が飛躍的に向上しました。

    Matterも同様に、メーカーやプラットフォームの垣根を越えて、あらゆるスマートホームデバイスが簡単かつ確実に接続できる世界を目指しています。ユーザーは「Matter対応」というロゴさえ確認すれば、どのメーカーの製品でも、自分が使っているスマートスピーカーやスマートフォンアプリ (対応プラットフォーム) でシームレスに連携・操作できるようになるのです。これにより、デバイス選びの自由度が高まり、セットアップも簡単になり、スマートホームがより身近で使いやすいものになることが期待されています。

    誰が推進してる?

    Matterは、特定の企業が独占的に開発している規格ではありません。その推進役を担っているのは、「CSA」 (Connectivity Standards Alliance、旧Zigbee Alliance) という標準化団体です。このCSAには、スマートホーム市場を牽引する数百社もの企業が参加しており、まさに業界全体でMatterを盛り上げようという動きになっています。各社が持つ技術やノウハウを結集し、相互運用性を確保するための厳格な認証プログラムも用意されており、信頼性の高い規格として普及が進められています。

    何が変わる?Matterがもたらす具体的なメリット

    では、Matterが普及すると、私たちのスマートホーム体験は具体的にどのように変わるのでしょうか?ユーザーにとって嬉しいメリットは数多くあります。デバイス選びの自由度向上から、セットアップの簡略化、より安定した動作まで、Matterがもたらす変化を見ていきましょう。

    デバイス選びが自由に!メーカー・プラットフォームの垣根を越える相互接続性

    これまでスマートホーム製品を選ぶ際に最も悩ましかったのが、「どのプラットフォーム (Amazon Alexa、Google Home、Apple HomeKitなど) に対応しているか?」という点でした。特定のプラットフォームにしか対応していない製品も多く、自分が使っているシステムに合わせて製品を選ばざるを得ない状況でした。

    しかし、Matterはこの問題を根本から解決します。「Matter対応」の製品であれば、原則として主要なプラットフォーム全てで利用可能になります。つまり、ユーザーは「この機能が欲しい」「このデザインが好き」といった本来の基準で、自由にデバイスを選べるようになるのです。

    高度な暗号化による安心のセキュリティ

    家中の機器がインターネットにつながるからこそ、セキュリティは最も気を使うべきポイントです。Matterは、その点でも最高水準の安全性を目指しています。

    Matterネットワーク上のすべての通信は、強力に暗号化されています。これにより、外部からのハッキングや不正アクセスを防ぐことができます。

    スマホで簡単セットアップ!QRコードで誰でも手軽に接続

    新しいスマートホームデバイスのセットアップって、意外と面倒ですよね。Wi-Fiのパスワードを入力して、アカウントを登録して、といった手順が必要で、製品によってはうまくいかないことも。

    Matterはこのセットアッププロセスも簡略化してくれます。製品本体に印刷、もしくはアプリ上に表示されたQRコードを読み取るだけで、ネットワークへの接続設定が簡単に行えるようになります。

    まるで新しいBluetoothイヤホンをペアリングするような手軽さで、誰でも簡単に新しいデバイスをスマートホームシステムに追加できるようになります。これにより、スマートホーム導入のハードルが大きく下がり、初心者でも気軽に始められるようになるでしょう。

    「Eufy Robot Vacuum Omni E25」のMatter接続手順

    Matter対応の「Eufy Robot Vacuum Omni E25」は、専用アプリ起動後、以下の手順でMatter接続用のQRコードとセットアップコードを確認できます。Google NestやAlexaなどのスマートホームアプリ内で、表示されたQRコードをスキャン、もしくはコピーしたセットアップコードをペーストすることで、Matter接続が可能です。

    安定動作を実現するローカル接続

    従来のスマートホームデバイスの多くは、操作の指示を一度インターネット上のクラウドサーバーを経由して行っていました。例えば、「電気をつけて」とスマートスピーカーに話しかけると、その音声データがクラウドに送られ、処理された後に電球に指示が飛ぶ、といった具合です。この方式は、インターネット接続が不安定だったり、万が一、クラウドサービスに障害が発生したりすると、デバイスが操作できなくなるという弱点がありました。

    しかし、Matterはデバイス間の通信を、可能な限り自宅内のローカルネットワークで完結させることを重視しています。これにより、インターネット接続が一時的に切断されたとしても、同じネットワーク内にあるMatter対応デバイス同士 (例えば、スマートフォンと照明) は直接通信するため、操作が可能です。

    安定性と応答性に優れた、より快適なスマートホーム体験を実現するのがローカル接続の大きな利点です。

    Matterはどのように機能する?
    仕組みと技術のポイント

    メーカーやプラットフォームの垣根を越えてシームレスな連携を実現するMatter。その裏側では、どのような技術が使われているのでしょうか?ここでは、Matterを支える通信技術や、ローカル接続の仕組みについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

    Matterを支える2つの通信技術、Wi-FiとThread

    Matterデバイス間の通信は、主に2つの既存の無線通信技術をベースにしています。「Wi-Fi」と「Thread」 (スレッド) です。

    Wi-Fiは、スマートフォンやパソコン、スマートテレビなど、既に多くの家庭で広く利用されているお馴染みの技術です。高速なデータ通信が可能で、比較的広い範囲をカバーできるため、スマートカメラのような大容量データを扱うデバイスや、電源に常時接続されているデバイスに適しています。

    一方、Threadは、スマートホーム向けに設計された比較的新しい低消費電力のメッシュネットワーク技術です。メッシュネットワークとは、デバイス同士が相互に通信し合い、網目状にネットワークを形成する仕組みのことです。これにより、Wi-Fiルーターから遠い場所にあるデバイスでも、近くのデバイスを経由して安定した通信が可能になります。また、低消費電力であるため、バッテリー駆動のセンサーやスマートロックなどに最適です。

    Matterは、デバイスの種類や設置場所に応じて、Wi-FiとThreadを適切に使い分けることで、信頼性と効率性の高い通信を実現しています。

    ローカル接続の仕組みとメリットを深掘り

    Matterの大きな特徴であるローカル接続。これは、デバイス間の通信を、インターネット上のクラウドサーバーを経由せず、自宅内のネットワーク (LAN) で完結させる仕組みです。具体的には、スマートフォンからMatter対応の照明を操作する場合、操作コマンドはWi-FiルーターやThreadボーダールーター (Threadネットワークと他のネットワークを接続する機器) を通じて、直接照明デバイスに送られます。この接続方法により、いくつかのメリットが生まれます。

    まず「応答速度の向上」です。クラウドを経由する通信遅延がなくなるため、操作に対するデバイスの反応がより速くなります。

    次に「オフラインでの動作」です。前述の通り、インターネット回線に障害が発生しても、自宅内のネットワークが生きていれば、スマートフォンなどからローカルでデバイスを操作できます。

    そして機密性の高い情報が自宅外のクラウドサーバーを経由する機会が減るため、「情報漏洩リスクの低減」できる可能性があります。

    このように、ローカル接続はMatterの信頼性、快適性、安全性を支える重要な要素なのです。

    Matterの最新のバージョンは?
    対応製品はいつ頃から増える?

    Matterの最初のバージョンである「Matter 1.0」は、2022年10月に正式にリリースされ、2025年5月に、最新バージョンの「Matter 1.4.1」がリリースされました。
    Matter規格は年2回のペースでアップデートがリリースされ、対応デバイスカテゴリの拡張や機能強化が継続的に行われています。
    既に、スマート照明やスマートプラグ、スマートスイッチ、センサー類、スマートロックなど様々なカテゴリーのMatter対応製品が登場しており、今後も対応製品のラインナップは急速に拡大していくと予想されます。

    Matterデバイスサポートの進化

    バージョン リリース日 主な追加サポート対象機器
    Matter 1.0 2022年10月 照明、プラグ、ドアロック、空調コントローラー、ブラインド、テレビ
    Matter 1.1 2023年5月 デバイス追加なし (開発者向け機能の強化)
    Matter 1.2 2023年10月 冷蔵庫、ルームエアコン、食洗機、洗濯機、ロボット掃除機、煙・CO検知器、空気質センサー
    Matter 1.3 2024年5月 電子レンジ、オーブン、クックトップ、乾燥機、EV充電器、水管理 (漏水センサー等) 、エネルギーレポート機能
    Matter 1.4 2024年11月 ホームルーター (HRAP) 、エネルギー管理強化 (負荷制御) 、在室検知機能の拡張
    Matter 1.4.1 2025年5月 拡張セットアップ フロー (ESF) 、マルチデバイス設定QRコード、NFC タグのオンボーディング情報
    ※Matter対応製品であっても、お使いのスマートホームプラットフォーム (Amazon Alexa、Google Home、Apple Homeなど) を管理するハブデバイスの種類やソフトウェアのバージョンによって、利用できる機能や設定可能なコマンドに差異が生じる場合があります。
    ※また、今後サポートされるデバイスや機能は各メーカーの更新により順次拡大される見込みです。最新の対応デバイスやアップデートに関する詳細につきましては、各製品のメーカーへ直接お問い合わせください。

    Matter対応のEufy Robot Vacuum Omni E25

    Ankerのスマートホームブランドである「Eufy (ユーフィ) 」からも、Matterに対応したロボット掃除機が登場しました。

    B019GNUT0C

    最高峰の機能をお求めの方におすすめ

    Eufy Robot Vacuum Omni E25

    ゴミ捨て、手洗い、手間要らず。掃除性能の最高峰を極めた全自動ロボット掃除機。 水拭きを超えた「床洗浄」を実現する、ローラーモップHydrojet™︎ システム。最大20000Paの驚異的な吸引力。隅々まで手の届く、CornerRover™ アーム。高レベルのナビゲーション、メンテナンスのストレスを減らす毛がらみ除去などが特徴。

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    Eufy Robot Vacuum Omni E25のMatter活用例

    Eufy Robot Vacuum Omni E25は、Matterに対応したことで以下のような賢い使い方ができます。ぜひ活用の参考にして下さい!

    ※以下の活用例を実現するには、Eufy Robot Vacuum Omni E25に加えて、Matterハブや、対応するスマートロック・スマート照明などのデバイスをご自身でご用意の上、連携設定を行う必要があります

    外出・帰宅に連動!「全自動お出かけクリーニング」

    Eufy Robot Vacuum Omni E25とMatter対応のスマートロックを連携させ、
    外出時、玄関のスマートロックの施錠を合図に、Eufy Robot Vacuum Omni E25が自動で掃除を開始します。外出を検知して自動で掃除を始めるため、掃除の「かけ忘れ」がありません。帰宅時にはきれいな部屋が迎えてくれます。

    就寝に連動!「静かな夜間クリーニング」

    Eufy Robot Vacuum Omni E25とMatter対応のスマート照明を連携させ、寝室のMatter対応スマート照明を消したら、リビングや廊下など、寝室以外の場所でロボット掃除機が静音モードで掃除を開始します。翌朝、あなたが目覚める頃には、リビングも廊下もピカピカに。気持ちよく一日をスタートできるでしょう。

    Matterで加速する、これからのスマートホーム体験

    Matterは、スマートホーム業界が長年抱えていた互換性の問題を解決し、デバイス間のシームレスな連携を実現する画期的な共通規格です。製品選びの際には、「Matter」に対応しているかをチェックしてみましょう。Matterが切り開く、ストレスフリーで豊かなスマートライフに、ぜひご期待ください。

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