憧れの先輩を、
お家デートに……

広告代理店の営業として働く、達也（30歳）は、世にいう「モテ男」だ。
これまで数多くの女性と浮名を流してきた彼は、人生最大の片思いに今悩んでいる。
意中の相手は、会社の先輩である3つ年上の志乃だ。
同じプロジェクトチームに配属され、働きぶりを間近で見るうちに惹かれていた。
その気持ちを確かめるべく先月から3回ほどデートを重ねているが、未だ関係を進められずにいた。
「今日こそは……」
達也は緊張を覚えながら、4回目のデート場所であるバーに向かう。
「今夜、進展がなければ、志乃さんへの想いを諦めよう」

秘策を胸に、
彼女を誘ってみると……。

実は、達也には秘策があった。
ある日、達也がネットニュースを見ていると「プロジェクターがある男性の家はお洒落だと感じる女性が多い」という記事を見つけた。
志乃との煮え切らない関係に焦っていた達也は、「志乃さん映画好きだし、プロジェクターがあれば自然に誘えるかも」と、最新機種である「Nebula Capsule 3」をすぐに購入した。
そして今夜、このデートに望んでいた。
「志乃さん、映画で何が一番好きですか？」
志乃は、迷った末に答える。
「定番だけど……『プラダを着た悪魔』かな」
「いいですね。僕も、プロジェクターで見ようかな」
「私、プロジェクターで映画って見たことないかも」
達也は、勝負をかける。
「もし良ければ、僕の家で映画を見ませんか？」

お洒落なプロジェクターを目にした彼女は……。

志乃は達也の誘いに一瞬戸惑った表情を見せたが、OKしてくれた。家に直接誘うより「映画を見ない？」のほうが、女性は返事がしやすいのかもしれないと達也は思う。
麻布十番にある達也のマンションにつくと、達也は「Nebula Capsule 3」を持ってきてセンターテーブルに置いた。
「これがプロジェクター？すごくコンパクトなのね」
志乃は驚いた様子だ。
達也は電源をつけ、120インチの大画面を壁に映し出す。志乃は小さく歓声をあげた。
「Netflixや、Amazon Prime Videoなどの人気の動画サービスが使えて便利なんです」
間接照明を消し、映画を再生すると、立体的な音がふたりを包み込む。

憧れの先輩を、
お家デートに……

エンドロールが終わり、ふたりは心地よい余韻に包まれていた。
「大画面だと迫力が全然違うわね……。テレビで観たときより、没入できた気がする」
感動する志乃を愛おし気に見つめながら、達也は志乃の肩に自然に手を回しながら言った。
「実はこのプロジェクター、天井にも映せるんですよ。補正機能が充実してるから、どんな角度からでも綺麗に映せて便利なんです」
達也は「ほら」とデバイスを上に向けた。
志乃は近距離で、達也を見つめて呟いた。
「プロジェクターがあると、お家が特別な場所になるのね……」
「Nebula Capsule 3」のおかげで、なかなか進展しなかった本気の恋が、うまくいきそうだ。
買ってよかった、と達也は心から思うのだった。

Fin